宇宙怪獣のひとりごと

イベント・映像作品の感想など

『Soto Sakino Dinner Show 2019』所感

 

夢・目標とはなんだろう?

子供の頃は確かに持ってたはずなのに大人になると曖昧になってしまいがちなものだろう。

 

 

崎乃奏音(さきの・そと)ちゃんは現役大学生にして、「歌」でもって有名になりたいと願うシンガーである。

 

今回、そんな彼女のバースデーライブである「Soto Sakino Dinner Show 2019」を観劇した。タイトルにディナーショーとついているが、食事が出てくる訳ではない。2部制となっており、前半はディナーパート(しっとり聴かせる)、後半はライブパート(盛り上がる曲中心)となっていた。

 

 

前半のディナーパートは、昭和の歌謡曲を中心に、しっとりした選曲がなされていた。『センチメンタル・ジャーニー』で「そとはまだ16だから」と元気に可愛く歌ったと思えば『ウイスキーが、お好きでしょ』と色っぽく歌ったりと、彼女の多面性が現れたライブであった。

 

特に『プレイバックPart2』『DESIRE』は色気に溢れており、まだうら若き乙女とは思えない艶っぽさと、本家歌手同様の若さを共存させた歌唱・パフォーマンスであった。どちらも低音中心の曲だが、それを艶っぽく聴かせる歌唱に終始圧倒されっぱなしであった。

 

 

先述した多面性という意味では、後半のライブパートになって雰囲気が激変したことも触れなくてはならない。

 

後半は前半とはうってかわってボーカロイド曲・ディアステージ所属アーティストのカバー曲・崎乃奏音が所属するヴォーカルグループ「CYNHN(すうぃーにー)」の持ち曲といったセットリストであった。

 

先程低音の美しさに触れたが、ボーカロイド曲は機械歌唱らしく高音が中心である。「これ人間に歌えるのか?」みたいな曲だらけである。しかし歌えちゃうんですよ。奏音ちゃんなら。

 

歌唱法についてわたしは明るくないので詳細は控えるが、ホイッスルボイス(?)のような高音を織りまぜて歌い、その度に私含めた観客は鳥肌を立て続けていくのである。

 

事務所の先輩でんぱ組.incの曲をカバーしてる時は、先程の色っぽく『DESIRE』を歌っていた歌手はどこへやら、ポップなアイドルが目の前にいた。これは奏音ちゃんが敬愛する先輩・寺嶋由芙のカバーをしているときも同様であった。繰り返しになるがこのパフォーマンスの幅広さがシンガー崎乃奏音の魅力と言えるだろう。

 

さらにCYNHNの持ち曲「wire」のハモリパートの一部を披露していたが、それもまたすごい。激しく踊りながら正しい音程を取り続けるのである。月並みな言葉になるが、すごい。CYNHNは特にコーラスワークを重視したグループであり、そのボトムを担う崎乃奏音という「メンバー」の魅力が現れたひとコマだった。

 

 

今回はシンガー崎乃奏音の魅力をメインに述べるために多くは触れないが、ゲスト出演した他のCYNHNのメンバーのパフォーマンスも素晴らしいものだった。

 

特にダンスのフォーメーション、歌割りも普段と全然違うこのイベント限定のものなのにいとも簡単にそれをこなす。それがCYNHNというグループの強みだろう。フロアのわたしは「恐ろしい子…」って顔をするしかないわけである。

 

 

ライブ中のMCで、奏音ちゃんはこう言っていた。「『崎乃奏音』ではなく、『崎乃奏音のライブ』が最高だと言ってほしい」と。

これは「歌手」という職業に夢を追いかけ、この職業にプライドを賭けるからこその発言だろう。艶っぽい低音主旋律も、絶唱して鳥肌メイカーとなる高音主旋律も、ほかのメンバーを引き立てるハモリパートも、彼女の不断なる努力の末に生まれたものだと思うと、感慨深いものがある。

 

そんな彼女の「歌手」としてのこれまでの血のにじむような努力と、これからの無限な可能性を感じたライブだった。

 

 

最後に、わたしの戯言だけでは彼女の歌の魅力が伝わるはずもないと思うので、彼女がメインヴォーカルを務める「絶交郷愁(ゼッコウノスタルジック)」の動画を見てもらいたい。

そして、ぜひその幅広さを感じてほしい。